[三宅しんご 今、考える]
本日12月16日午後、高松高裁は、7月の参院選が
違憲だとして選挙無効を求めた訴訟で、
「選挙は有効」との判断を出しました。
ただ、一方で、高松高裁は、「選挙区間における
議員1人あたりの選挙人数の最大較差が1対4.77に至っていたことは、違憲の問題が生ずる程度の
投票価値の著しい不平等が生じていたものといわざる
を得ない」との厳しい注文もつけています。
そして、「本件選挙までの間に本件定数配分規程
を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超
えるものとまではいえず、本件定数配分規程が
憲法に違反するに至っていたということはできない。」
と結論づけました。
私、三宅伸吾は、現在の憲法の規定のもとで、
有権者の住む都道府県により投票の重み(1票の価値)
が著しく不平等となっている状態はかねて由々しき
事態だと考えておりました。自著でも詳しく記して
きました。(三宅伸吾『Googleの脳みそ』日本経済
新聞出版社・2011年 第3章「現代のガリレオ裁判」)。
今年夏から立法府の一員になった以上、きっちり
合憲となるような選挙制度の見直しに向け、取り組み
たいと考えます。
参議院選挙区選挙において、議員1人当たりの有権者
数から1票の重みを比べてみますと、私が生まれ、
住んでいる香川県の有権者は約83万人。定数は2人で、
任期6年の3年に1度、交互に選挙があります。
北海道は有権者数約460万人、定数4人です。
つまり、議員1人当たりの香川県、北海道の有権者は
それぞれ約41万人と約115万人で、香川県の人は
北海道の人より、2.78倍も優遇されています。
一方で、鳥取県は有権者数約48万人、定数2人。
議員1人当たりの有権者は約24万人。香川県の0.58倍で、
香川県の有権者は今度は逆にとても冷遇されています。
住むところによって投票価値にこれほどの差がある
ことの合理的理由を子供に説明することができる
でしょうか?
田舎の実情、地方の声を国会に十分に届けるため
には単純な人口比例はおかしいという意見があります。
私もこの主張には強く共感します。ただ、
「法の下の平等」「多数決原理に基づく民主主義」
を掲げる今の憲法が、鳥取県と北海道の最大格差
約4.77倍を許容しているとはなかなか考え
づらいのです。北海道の有権者は鳥取県の
有権者の0.2票程度で我慢しなさいと、どうして
言えるのでしょうか。
解決策は①現行憲法のもとで投票価値が平等に
なるよう定数や区割りを大幅に見直すか、または、
②参議院議員に、田舎の声、地方の実情を
国会に十分、伝える性格をきちんと位置づけ、
場合によっては投票価値の格差を認めるよう憲法を
改正することが必要だと考えます。