「国政報告第6版 2016年・春号」が完成
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「国政報告第5版 2015年・秋号(通常国会)」が完成
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先日、参議院・平和安全法制特別委員会にて質問しました。
質問用メモを以下よりダウンロードできます。
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質問メモ
参議院・平和安全法制特別委(8月5日)
自民党 三宅伸吾
(Ⅰ)徴兵制
本委員会で話題となっている徴兵制について。
憲法 第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
憲法 第18条
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
【Q:内閣法制局】 裁判員制度では国民から選ばれた裁判員が死刑を宣告することもある。憲法の18条等との関係で裁判員制度は問題ないのか、また、徴兵制は憲法上、どのように整理されるのか。
安倍総理は徴兵制について、「明確な憲法違反であり、全くあり得ない。政権が替わっても導入の余地は全くない」と述べている。しかし、世の中からは「徴兵制の憲法解釈を、違憲から合憲に変え、徴兵制をいずれ採用するのではないか」との批判を耳にする。
国家指導者の言葉は重い。しかし、その言葉をどうしても信頼できないというのであれば、憲法を改正して、明確に徴兵制の禁止を明記する条項を追加してはどうか。具体的には、9条に3項を加え、「徴兵制は、禁止する」と明記する。
【Q: 官房長官】 徴兵制禁止を追記する憲法改正の動きが出てくれば、長官はそれに賛成か。
(メモ)
① 法技術論でいえば、現行の憲法から読み取れるとされる「徴兵制禁止」を、新たに追記・確認、明記するのは、「馬から落馬」のようなもので、おかしなこと。ただ、「自民党が現行憲法の解釈を違憲から合憲へと変えるかもしれない」との指摘があることから、「徴兵制禁止を堅持する」との政権の姿勢を明確にするための質問。
②「自衛隊が「軍隊」であるかどうかの論点とは関係なく、徴兵制は違憲である」(2015-8-4参議院・平和安全法制・特別委員会 中谷防衛大臣答弁)
(Ⅱ)国民の支持の中での安保関連法案成立に向けて
これまでの国会審議などで、明らかになったこと。
1.厳しい安全保障環境のなかで、平和を維持するために何らかの対応が必要だということには理解が進んでいる。
2.しかし、本法案に対しては、なかなか理解が進んでいない。
どうしてか、ずっと考えてきた。
北朝鮮:ミサイル・核開発 薄気味悪い。
中 国:膨大な軍事予算。尖閣をうかがい、南シナ海の岩礁を埋め立て。
「1党独裁・膨張主義国家」。不気味で、怖い。
だから、抑止力向上の必要性は分かる、しかし法案には反対という人が多い。
脚本家の倉本聡(くらもと・そう)氏が、8月1日付け日経新聞『私の履歴書』で、こう述べている。
「国を愛する気持ちはひと一倍だが、愛国心を強調すると右と批評される。
国を守るのは大事なことだ。しかし、衆院を通過した安保法制には反対。
戦争の臭いがするからだ」
私には「戦争の臭い」は全くしない。ただ、やはり、四国の地元香川の有権者の方とお話をすると、一部の方から、似たような感想・コメントを地元の香川の有権者から耳にした。
本法案は、国の独立と、国際社会の中で、「日本の名誉と信頼」にかかわる重要なもの。やはり、そのことを国民に理解していただき、スムーズに成立させるべき。
国民の支持を受けて、法案が成立する2つの条件
1. 国民の間で、「戦争への漠然とした大きな懸念」、さらに言えば、この懸念の背景には過去の軍国主義による大戦で味わった苦しみの記憶と、その再発への不安がある。とすれば、本法案が戦争リスクを下げるものであること、そして、「戦争・軍国主義再発の懸念」がないことを国民が理解すれば、国民が広く支持する形で、この法案を成立させることができる。
もちろん、
2. 憲法の話が難しく、政府の説明が国民の五臓六腑になかなかストンと落ちていないのも法案が不人気の原因。とすれば、「分かりやすい憲法の話」も必要。
本日の質疑では戦争リスクが高まる法案ではないこと、また本法案が合憲であることを確かめる。
(Ⅲ)まず、「戦争への漠然とした大きな懸念」・「軍国主義の再発への不安」が、不必要であること
先の大戦の評価はいろいろ。
1959年の砂川事件大法廷判決 15人の裁判官が全員一致で下した評価
「わが国の誤つて犯すに至つた軍国主義的行動」
自衛のために開戦したわけだが、「終戦の決断があまりに遅すぎた」のは明らか。
70年前の明日8月6日午前8時過ぎ、広島に原爆が投下された。続いて9日には長崎でも無垢の尊い命が失われた。2都市での犠牲者数20万人以上。
空襲でも、東京だけで10万人など、各地の空襲でもおびただしい数の人命が失われ、沖縄の地上戦では約20万人もが亡くなった。
本土を遠く離れたアジア・太平洋地域でも多数の軍人が戦死。銃弾ではなく、餓死、病死した人も数えきれない。その数、100万人前後とも。
日本は刀折れ、矢尽き、また、補給路も早々と断たれたのに、なぜ戦争を継続したのか。早期に戦争を終えておけば、国内での空襲、沖縄地上戦の被害者、そして外地での餓死者、病死者数はかなり減ったはず。
なぜ、早期終戦ができなかったのか、疑問は尽きない。
安倍総理 衆議院・平安特の6月1日の答弁。
「大戦の結果、日本は敗戦を迎え、多くの人々が貴重な人命を失ったわけでありますし、アジアの人々にも多くの被害を及ぼした」
「そうした結果を生み出した日本人の政治指導者にはそれぞれ多くの責任があるのは当然のこと」
歴史を振り返れば、様々な疑問が浮かぶ。なぜ、新聞は戦争を煽ったのか。そして、なぜ、新聞の論調に一部を除く政治家は迎合したのか。イケイケどんどんの「空気」が支配する状況にあっても、Noと言える国家リーダーが必要だった。しかし、そんな空気に支配されてからでは実は手遅れで、Noというリーダーは抹殺され、「竹槍でB29に立ち向かえ」というような「空気」に拍車をかける新リーダーが、喝采を浴びて登場する可能性が大だったのかもしれない。
先の大戦では、戦争相手国の惨状にも胸が痛む。私たち、ひとり一人が歴史を前に、考えなければならない。戦後70年。政治、社会システムは大きく変貌したが、日本は「過去」の過ちを繰り返さないほどに、りっぱになったのか。そして、周辺諸国の状況はどうか。すべてを総合判断し、国民の平和な暮らしと国の独立を守るために、憲法の枠内で必要なことは断行しなければいけない。
そこで、
【Q:防衛大臣】 戦前には中国大陸などで「軍部の暴走」があった。このため、過去の誤った軍国主義が再発しないかと心配している人もいる。
私は、先の大戦での失敗を繰り返さないため、戦後、我が国は何重もの制度的歯止めを作り込んできたと考える。
過剰な自衛権の発動を防ぐ制度的な仕組みは、今回の法案を含め、きちんと整備されているのか。このことにつき、民主的統制の観点から、旧日本軍と自衛隊を取り巻く環境の違いなどを含め、
国民が安心でき、政府に全幅の信頼を寄せられるような、中谷大臣の深い歴史観に基づく、答弁を求める。
さて、
先般、世界的に有名なオークションで、第一次世界大戦中に描かれた、ある絵が出品された。地中海のマルセイユの港に停泊している、軍艦と思われる船を描いたもので、船には「日章旗」が掲揚。私自身、その数日後に、瀬戸内海の高松港に自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が寄港。そこに掲げられた日章旗を目にし、当時の歴史に興味を覚えた。
今から1世紀前の第一次世界大戦の際、日英同盟が結ばれていた。地中海のドイツ巡洋艦に対抗するため、1914年の開戦直後、英国から日本に対して、艦船の派遣要請があった。当初、加藤高明・外務大臣は「余裕がない」と断った。しかし、その後、ドイツの潜水艦などによって連合国側の被害が増大し、再び英国から艦隊派遣の要請があると、今度は断り切れず、1017年になって日本政府は旧式の巡洋艦明石を指揮艦として、駆逐艦をいれて10数隻の艦船を地中海まで派遣し、マルタ--マルセイユの間などで船団を護衛した。最新鋭の艦艇ではなかったが、それでも日本海軍の貢献は、高い評価を受けた。
(先のオークションの絵は1916年に描かれており、絵の中の日章旗を掲げる船は、2017年以降に地中海に派遣された日本海軍「第2特務艦隊」所属のものではないと思われる)
実は当時、英仏などから、欧州大陸に日本陸軍の派遣要請もあった。日本政府は、これを拒否。欧州大陸への日本陸軍の派遣拒否は、対華21箇条の要求などもあって、英国の失望を招き、日英同盟の破棄の一因になったとの指摘がある。
【Q:外務大臣】 今回の法案の反対論の一つに、米国に日本がより協力せざるを得なくなり、日本が米国の紛争に巻き込まれ易くなるとの批判がある。しかし、集団的自衛権行使に関する3要件を読むと、かなり限定をかけている。世界で一番、厳しい制約ともされ、他国の紛争に巻き込まれるリスクは高まらないと私は考える。
もう1つ、極めて大事なことを指摘する。私は、米国が「世界の警察官をやめる」という、引き気味の状況の中で、日米関係を通じて抑止力を維持・強化するためにも、今回の法案は絶対に必要だと考える。この点につき、岸田岸田外務大臣はどのように考えているか。
(Ⅳ)ストンと腑に落ちる分かりやすい憲法論議
次に、法案が国民に理解されて成立するためのもう1つの条件。なかなか理解が進んでいない憲法の論議について。
【Q: 内閣法制局】 憲法9条と自衛権の関係に関し、憲法の制定論議の当時から今日までの政府見解の大まかな流れの説明を。
過去の政府見解の変遷
1.現行憲法制定の議論の際、政府は「自衛権の行使は一切認められない」。
2.その後、独立を守るために1954年、自衛隊を創設。
3.さらに政府は個別的自衛権の行使は可能だが、集団的自衛権の行使は認められてないと説明。
4.昨年7月の閣議決定を受けた今回の法案では、集団的自衛権の限定行使を認める。
憲法の文言が制定時からまったく変わっていないのに、国の方針は変わってきたようにも見える。「一体、どうなっているのか」と思っている国民もいる。
話がややこしくなれば、原点、つまり憲法の規定の最終解釈権を持つ最高裁の判断に戻るほかない。
砂川事件大法廷判決 「憲法の番人」の9条に関する唯一の判断。
全員一致で、こう述べた。
「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」。
しかし、残念ながら、「必要な自衛のための措置は可能」としか、最高裁は述べていない。
従って、必要な措置のその具体的な内容、程度については「絶対的な基準」は不明。
現実の国防は、よく分からないといって済む話ではない。政府は、国民の平和な暮らしと国の独立を守る責務がある。「分からない」では無責任。最高裁が沈黙している部分を、政府は真摯に憲法を解釈し、埋める作業をしていかなければ、国を守るため、適切に自衛隊を動かせない。
その1つが政府の1972年の見解。
「平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」
つまり、
最高裁は「必要な自衛のための措置は可能」だとし、政府はその措置は「必要最小限度の範囲にとどまるべき」としてきた。
この枠組み、基本ルールについては、私の理解では、少なくとも自衛隊を保持して以降、政権に参画した政党に所属する国会議員や、それなりの数の憲法の研究者も、しぶしぶかもしれないが、お認めになるのではないか。
この政府見解が出た1972年当時、中国に近年のような軍事膨張主義はみられず、北朝鮮に弾道ミサイル、核もない状況だった。当時の安全保障環境は、米国の相対的軍事力は圧倒的に強大で、「集団的自衛権の行使」の必要性は我が国側には全くなく、集団的自衛権の行使は「必要最小限の措置」を越えていると政府は判断したため、1972年政府見解では「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と述べたと理解する。
しかし、その後、40年以上が経ち、安全保障環境が悪いほうに激変してきた。
① これに応じて、限定的な集団的自衛権の行使が、「必要最小限の措置」の枠内に入ってきた、現れてきたのではないか。
② つまり、物騒になってくれば、ならず者、無法者が日本の周りに出てくるようになれば、「必要最小限」の措置レベルを高めなければならないと、政府は考えたのではないか。
③ 「自衛のための措置は必要最小限度の範囲」という基本ルールは変わっていない。この意味で、「法的安定性は保たれている」というのが政府の見解ではないか。ただ、新3要件の枠にとどまらない、いわゆるフルスペックの集団的自衛権の行使は基本ルール違反。つまり憲法違反だということになる。
【Q:内閣法制局】 このように私は理解するが、内閣法制局の見解は。
(メモ)
1 猪の侵入を防ぐフェンスでは、熊は止められない。熊が出るようになれば、もっと強力なフェンスが必要だということ。
2 砂川事件 田中耕太郎長官の補足意見
「自衛は国家の最も本源的な任務と機能の一つである」
「防衛力の規模および充実の程度やいかなる方策を選ぶべきかの判断は、これ一つにその時々の世界情勢その他の事情を考慮に入れた、政府の裁量にかかる純然たる政治的性質の問題である」
3 ゴム風船で例えてみる。ゴム風船に空気を少し入れて、膨らませて、空気の出入り口をしっかりと結ぶ。ゴム風船やその中に入っている空気の質量は変わらないが、周りの気圧が低くなると、ゴム風船は周りの気圧の低下に応じて膨らんでいく。
このゴム風船の中が、「自衛のための必要最小限の措置の範囲」=自衛隊の活動領域。
安全保障環境の変化に応じて、必要な「自衛の措置レベル」は変わってくる。しかし、このゴム風船は憲法の制約のため、膨張にも限界がある。気圧があまりに下がり、膨張し過ぎるとゴム風船は破裂=憲法違反。3日の総理答弁でも新3要件を超えて広がることはないと述べた。
以上
『謀反のすすめ』と題し、先日、早稲田大学の大隈講堂でミニ講演しました。
時間が足りなく、当日は下記メモの一部のみ、お話しました。
講演メモ全文は以下よりダウンロードできます。
6月15日 早稲田大学の大隈講堂でのミニ講演メモ 『謀反のすすめ』
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こんにちは。
国会で今、話題になっている安全保障法案について。
集団的自衛権の限定的行使を認める等の法案に対し、衆議院・憲法審査会で「憲法違反だ」と3人の専門家が主張。与党がお招きした方までが違憲と指摘しました。会場の皆さま、今回の法案、合憲だと思う方、挙手をお願いします。
学者の先生方はその分野の研究に人生をかけるわけです。私も本学の政治学科3年生のとき、憲法の清水ゼミで一時、学者を目指したことがあります。人生をかけた専門家が「違憲だ」と口をそろえたわけです。重く、重く受け止めなければなりません。
今回の法案。
① 戦力、つまり自衛隊ですが、その活動の契機となる事象
② 自衛隊の地理的な活動領域
これらを広げるものです。
具体的に言えば、友好国が攻撃をされたときにも場合によっては自衛隊が出動する契機となり、また、地球の裏側まで出かけていく可能性を法案の文言上、否定しておりません。
「違憲だ」と学者の方に言われると、「そうかもしれない」と多くの方が思うわけです。
私は学生時代、自衛隊は違憲だと思っていました。
自衛権に関する過去の政府や国会議員、裁判所の見解はどうだったのでしょうか?
I. 自衛権の行使はできない。
憲法9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とあり、日本政府は当初、個別的自衛権の行使もできないとの立場。
吉田茂首相(1946年6月・日本国憲法草案を審議した衆議院本会議での答弁)
「第九条第二項ニ於テ一切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ抛棄シタ」
共産党の野坂参三議員 (1946年8月)
「我ガ国ノ自衛権ヲ抛棄シテ民族ノ独立ヲ危クスル危険ガアル、ソレ故ニ我ガ党ハ民族独立ノ為ニ此ノ憲法ニ反対シナケレバナラナイ」と。
振り返ると、先見の明があった共産党であります。
II. 個別はOK。集団的自衛権の行使はできない。
時は流れ、東アジア情勢が変化。
1949年、中国共産党率いる中華人民共和国の建国
1950年、朝鮮戦争
1951年、主権を回復。サンフランシスコ平和条約
1954年、自衛隊発足
そして、衆議院予算委員会での大村清一防衛庁長官の答弁(1954年12月22日)
「自国に対して武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない。・・・従つて自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない」
1959年12月16日、砂川事件最高裁大法廷判決
9条により、「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないのである。・・・わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない」
1972年、政府見解
「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、「わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られる」のであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる「集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」
III. 集団的自衛権の一部は、行使できる。
2014年7月1日閣議決定
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容される」
憲法の書きぶりは制定時からまったく変わっていません。一切の軍備を保持できないと言っていた政府が自衛隊を創設。政府の憲法解釈はこの時、「コペルニクス的大転換」をしたと、あるベテラン議員は指摘します。
先ほど、憲法学者の先生のご発言、ご研究の成果は重いと申し上げました。
しかし、もっと、もっと重いのは「憲法の番人」である最高裁の判断です。
砂川事件最高裁大法廷判決
「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」
ポイントは「国の存立を全うするために必要な自衛のための措置」。つまり、必要な範囲、程度がどこまでかということ。
必要な範囲は絶対基準ではなく、安全保障環境に応じて変わるということではないでしょうか。
第二次世界大戦直後
我が国はGHQの支配下。日本を攻める国などあり得なかったわけです。
何かあったら、「国連軍が助けてくれる」という淡い期待もあった。
→ 吉田首相が、自衛権は発動しないと言える環境にあったのです。
さて、今は、どうでしょうか。
「世界の警察官をやる」と言っていた超大国が「そんな役割はもう果たせません」と言っています。多くの日本人を拉致して連れ帰った国がミサイルや核の開発。
南シナ海では軍事超大国が岩礁を軍事目的のため、一生懸命、埋め立て。
朝日新聞によると、
「東アジアは今、中国の台頭によって、劇的な変化を迎えている。
習近平(シーチンピン)指導部の拡張路線は、急激であり、地域の秩序を破壊しかねない膨張である。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認の理由にあげた「安全保障環境の変化」は確かに存在する。そもそも歴史上、東アジアに二つの世界的規模の大国が平和に共存したことはない。あつれきは今後も、さらに高まるに違いない」
平たく言えば、最近、日本の田舎のいたるところで、猪が出てくるようになりました。田畑をフェンスで囲まなければいけません。猪だけだと思っていたら、熊も出てきそうな状況になったわけで、何もしないわけにいきません。熊が民家を襲わないよう、「襲ってきたら、打ち返しますよ」と抑止力を高めないといけないわけです。
しかし、留意すべきこともあります。
太平洋戦争では我が国の領土に原爆が投下され、無垢の尊い命が失われました。沖縄の地上戦でも多くの市民が亡くなられました。本土を遠く離れたアジア太平洋地域でも、おびただしい数の軍人が戦死されました。銃弾ではなく、餓死、病死した人も数えきれません。戦争相手国の惨状にも胸が痛みます。
なぜ、開戦したのでしょうか。
自衛のためだったという指摘もありますが、振り返れば開戦前の交渉で耐え難きを耐え、踏みとどまることはできなかったのでしょうか。補給路が断たれてしまったのに、なぜ戦争を継続したのか、早期停戦していれば戦地での餓死・病死者数も、かなり減ったはずです。沖縄の惨劇、広島、長崎への原爆投下も避けられました。それなのに、なぜ、早期停戦の決断ができなかったのでしょうか。
なぜ、当時の新聞は戦争を煽ったのでしょうか。そして、なぜ、新聞の論調に大半の知識人、政治家が迎合したのでしょうか。
「空気」が支配する状況にあっても、Noと言える国家リーダーが必要です。しかし、支配されてからでは手遅れかもしれません。Noというリーダーは抹殺され、「空気」に拍車をかける新リーダーが喝采を浴び、登場する可能性もあります。
ひとり一人が歴史を前に、考えなければなりません。戦後70年。平和70年の間に政治、社会システムは大きく変貌しましたが、日本は「過去」を繰り返さないほどに、立派になったのでしょうか。そして、周辺諸国の状況はどうでしょうか。すべてを総合判断し、平和と独立を守るために必要なことを断行しなければなりません。
世の中には2つのグループ
① 抑止力が「戦争を作る」派
戦力や集団的自衛権の行使が戦争を助長すると考える人たち。
② 抑止力が「平和を守る」派
外交交渉などで友好国を増やすことも大事ですが、それだけでは不十分。
なぜなら、「台風に来るな」と頼めば、来なくなるわけではありません。
「平和が大事だ」と叫んだだけで、平和になるわけでもないのです。
私は徹底したリアリスト、現実主義者。ユートピア的平和主義では平和は守れません。
ユートピア的平和主義者の方にお聞きしたいのは
① 憲法前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べるけれども、そうした日本の信頼を近隣諸国は裏切っていないのですか?
② 「もし、日本の領土が侵され、家族が敵国の兵士に殺されそうになっても、あなたは座して死を待つのですか」。
最後に、集団的自衛権の限定的行使を認める今回の安保法案。
① 砂川事件最高裁大法廷判決の枠内での、政府解釈の変更であっても、それが政治判断として不適切だとの意見もあるかもしれません。その政治責任は、次期選挙で国民の審判を受けることになります。
② 政府が留意すべきことは最高裁で改正安保法の違憲・無効判断が出ないようにすること。
具体的には憲法81条により違憲審査権を持つ最高裁について、内閣が指名する最高裁長官、任命するその他の裁判官の人事に細心の注意を払うことではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、本日のお題は「謀反のすすめ」です。
ここからが本来のお話です。
私が目指す国家は「成長を続け、希望にあふれる社会」です。
希望とは「頑張れば、何かを実現できる」という前向きの心の姿勢です。
そのためには挑戦を続けることが大事です。
希望あふれる社会の実現に向け、大切なことは政治家自身がその手本とならなければなりません。自らを律し、日々、挑戦しなければなりません。
また、様々なルール改正、環境整備を通じ、社会に希望を増やすのが政治の役割です。
希望あふれる社会となるためには「稼ぐ力」を高め、景気をさらに良くしなければなりません。法人税率の引き下げなど税制改革、規制緩和にさらに取り組んで参ります。
「デフレ・マインド」の払拭
現在、我が国とって最大の課題は「デフレ・マインド」の払拭です。
リスクをとって、挑戦する人を増やさなければなりません。
「デフレ・マインド」の正反対の例を紹介します。
インフレ・マインドで、急成長した米Google社です。
2人の創業者の口癖は「許可を取るより、謝るほうが楽だ」です。
Google Search
You Tube
Street View
Google Earth
Google Books Library Project
同社の大半のサービスが当初、法的にはグレーとされました。しかし、「世界の人がワクワクするサービス」との確信に支えられ、同社は画期的なサービスに果敢に挑み、法廷闘争をかわし、世界の人に喜ばれ、ビジネスは大成功を収めました。
Google Searchが生まれた頃、日本にもNTTグループの検索エンジンが産声をあげました。
NTTが、Googleに負けたのは技術の差というよりもマインドの差です。
創業者の「許可を取るより、謝るほうが楽だ」という、突破モノ精神、ケインズの言葉でいえばAnimal Spirits(血気)が、旧公社のNTTに当時、欠如していたからです。
リスクをとって、挑戦する人を増やさなければなりません。
新しいことに挑戦する人を様々な形で、応援する。これが政治に求められています。
規制緩和が必要です。
Googleが成功した要因には、実は技術やビジネス・モデルのイノベーションの芽を摘まない法制度もありました。詳細は省きますが、米国の著作権法のFair Use(公正なる利用)という考え方。この規定を日本に導入するべきだとかねて考えており、党内の議論を引っ張って参ります。
「新しいことは常に謀反です」(蘆花)
新しい未来を拓く破壊者、つまり「正しい謀反人」が、息ができる、挑戦できる制度環境を整えるのが政治の仕事です。希望が挑戦を育み、個人と国家の成長につながり、また「新たな希望」を生みだすわけです。
私の大好きな言葉です。
「人生最高の瞬間はいつも、これからやってくる」。
挑戦を続ける限り、人生最高の瞬間はいつも、必ず、これからやってきます!
社会も、国家も同じ。希望を持って、成長に向け挑戦しなければなりません。
「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」。この賞を母校からいただけないままに、政治の世界に飛び込んだことだけが、ジャーナリスト人生、唯一の心残りです。
石橋先生の残した言葉。「政治家に大事なことは、自分に忠実であること、自分を偽らないことである。また、いやしくも、政治家になったからには、自分の利益とか、選挙区の世話よりも、まず国家・国民の利益を念頭において、行動してほしい」。
そう行動いたします。早稲田ブランドを汚すことなく、身を粉にして国民と国家のために働くことを改めてお誓いし終わります。ご清聴ありがとうございました。
三宅伸吾の国政報告第3版(2014秋~15年新春)が完成
致しました。
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ーーーーーー 国政報告第3版内容 ーーーーーーーー
※下記の章タイトル後の数字はページ№です
(Ⅰ)予期した解散 3
(一) 絶句 3
(二) 対応方針 4
(三) 目が語る 5
(四) アベノミクスを成功させる会 8
(五) 解散 9
(Ⅱ)税制改正 10
(一) 法人税 10
(二) 主な改正点 13
(Ⅲ)予算 15
(一) 介護報酬 15
(二) 予算の概要 17
(Ⅳ)国会質疑、要望 19
(一) 法務委員会・理事就任 19
(二) 首相官邸 19
(Ⅴ)視察 20
(一) 海外 20
① 米ワシントン特別区 20
② 韓国 21
(二) 国内 22
① まんのう町・香南町 22
② 今治、町田、富山 22
(Ⅵ)地方創生 25
(一) 「街中スタジアム」で、にぎわいを取り戻せ! 25
(二) 知事選挙と解散・総選挙 26
(Ⅶ)講演 27
【終わりに】 28
脚注 29